ある意味では究極の選択

北村歯科  横浜市鶴見駅東口駅前

このケースでは歯科医、患者双方の視野から色々考えさせられる事がたくさんあります。

ケース5 紹介でいらした50代男性です。ある程度歯槽膿漏が進行して、前歯が抜け落ちてしまっていました。また下の歯がほとんど残存しているのに対して上の歯数が少なく上下アンバランスの状態です。このようなケースの人はほとんど下の歯の力で前歯を押し出している状態の人が多く前歯が前方に傾斜しており、歯間の隙間が広がった状態になってしまいます。このようなケースでは多くの治療法の選択肢があります。もしも審美歯科において修復するならば多分60万円以上の出費が掛かることが予想されます。しかし果たしてそれがご本人にとって最高の選択か?ある意味では金銭が湯水の如しポケットに入って来る方ならいざ知らず、ごく普通の人(何が基準かは判りませんが?)にとっては大きな出費であることは間違えないでしょう。しかしそれだけの金銭をかけても一体何年その状態が維持できるか?それも?としか答えようがありません。あえて言うならば「台になっている歯が台として使えるまでは持ちます。」とでも言ったら良いのでしょうか。「すべてを私の判断に任せる」とおしゃったこの患者さん対する私の回答は、いつダメになっても、ご本人が納得出来る唯一の選択肢・・・それは「本人に金銭負担をかけない!」という選択でした。捨てるつもりでダメで元々とご理解いただいて本当にそれがダメになったときご本人も納得なさることでしょう。

(例によって口腔内カメラでの撮影ですので、お見苦しい点はご容赦下さい)

実はこのケースにブリッジを採用することで、ブリッジ自体が永久固定装置の役割を果たし、残存歯の寿命まで延びるというおまけまでつきます。また入れ歯と比べて装着感、食感、すべてに関して非常に良い結果を得ることが出来ます。私がフラストレーションを感じない以上に、患者さんとっての利益は絶大なものだと思います。

歯槽膿漏で歯が抜け落ちると周辺の歯槽骨(顎の骨)が吸収してしまい、写真のように大きく陥没した状態になります。また、欠損部分の両側の歯は前方に倒れ下の歯とは噛んでいません。
両方の歯をきちんと、下の歯と下の歯とが噛むように修復。ブリッジの台となる両方の歯は保険では当然この様な状態にもっていく治療は給付外ですし、これから加工してしまう歯であっても、このようにきちんとした位置に修復出来きることが、治療の大きな指針となるため、一見無駄な行為と思われるステップを取り入れたわけです。上下の歯がきちんと噛んでいる感覚が戻って、患者本人にとってもこれは大きな変化として体験できるわけです。むろん患者さんには一切の金銭負担は求めていません。


数十万の治療費が本当に高いものか?

他の歯科師の先生方の名誉のために私なりの比較をしてみました。

交通機関と比べて

適切な比較対象ではでは無いかも知れませんが、タクシーをやっている友人の話によりますと、横浜から成田空港までタクシーで行くと約25000円くらいだそうです。私も人の送迎でしばしば成田空港には行きますが、順調なら約一時間半で成田空港に着きます。歯科医院の設備からして通常のタクシー車両ではなく高級外車のベンツクラスのハイヤーだと約5万円、ロールスロイスだと10万円は下らないと思います。「歯科医1名+歯科医院」と「ドライバー1名+ロールスロイス」
無茶な比較と思いますが、前歯の治療だけで約5〜6回。この治療に数十万円と値段を付けてもそんなにでたらめな価格では無いことも、確かな事だと思います。私の場合には、もしもベンツやロールスロイスを持っていても、友人知人を成田空港まで送迎したときに金銭を要求しないだけのことです。
日本国内でヘリの操縦訓練をするには、一時間教官込みで8万円以上します。それに消費税。ヘリの値段はR22約1800万円と言ったところでしょう。取材等でこれがジェットヘリになりますと一時間で20〜30万円します。さてこれと比べて歯科診療は高いものでしょうか?

食べ物屋さんと比べて

二本欠損5本歯台のブリッジをある程度の金属材料で作りますとおおよそ10万円の技工料が掛かります。もしも寿司屋さんで、仕入れ値一人前10万円分の刺身ですしを握ってもらったらいくらになるのでしょうか?私にも判りません。しかし一人前のすしを握るより、ブリッジで欠損治療するの方が、遙かに時間は掛かることは確かです。もちろんプロの寿司屋さんの職人さんになるにはそれなりの厳しい修行をとねんきのはいった事であることは言うまでもありません。職業比較ではなく、あくまでも材料費と労働費と投資と、それに見合う料金の話です。


いよいよ完成です。ここまで、ご本人も気さくな方であり、きちんと治療を御理解いただいた上で熱心に通院なされ、こちらの話もよく聞いていただいて大変に助かりました。よりよい結果はよりよい信頼関係の上に達成されるものであります。向かって右側に見えるのは、次のステップの為に装着した、歯の土台です。仕上がりはかなりナチュラルです。歯台部分の影はこれから修正の予定でおります。


北村歯科